コンピューター、ビジネスから芸術・SDGsまで様々な分野がオンラインで学習可能。コースは1時間で終わるもの3年じっくり学ぶものまで
100%オンラインで卒業できるコースを表にしました。これは一例ですが、誰もが聞いたことのある有名な大学が様々なコースを提供しています。
分野 | 大学名 |
MBA/ ビジネス | イリノイ大学 ボストン大学 ハーバード大学 |
金融 | イェール大学 ケンブリッジ大学 |
コンピューター/ データサイエンス | ペンシルバニア大学 ハーバード大学 マサチューセッツ工科大学 ニューヨーク大学 |
言語 | カリフォルニア大学UCバークレー校 スタンフォード大学 |
公衆衛生 | インペリアルカレッジロンドン ミシガン大学 |
人文科学 | エディンバラ大学 ブリティッシュコロンビア大学 |
オンラインでの学習は動画の視聴、ライブ講義への参加、および教科書(Webコンテンツ・書籍)での独習が中心です。教授やクラスメイトとのコミュニケーションはチャットやメールで行います。そのため、自分一人で学習を進めることができるコンピューター、ビジネス・ファイナンス・法律・言語など知識系の分野はオンラインと相性が良いです。反対に、現場での実習が重要な医療系、実験などの演習が必要になる化学等の分野などはオンラインでの学習が難しいため、コースを提供している大学は少なくなります。
世界の大学ランキングを参考に。THEランキングとQSランキングが2大巨頭。
世界中の大学をランク付けしているWebサイトを2つご紹介します。ランキングが上位の大学ほどカリキュラムが優れており、難易度が高く、知名度も高い傾向にあるので、大学・コースを選ぶ時の参考にしてください。
ランキング上位の大学を卒業したり修了証を取得できれば、大学の名前に知名度があるため、就職・転職時のアピールが楽になります。この2つは通学コース中心のランキングの老舗で、世界中の様々な大学を幅広い基準で評価して、毎年ランキングを発表しています。
THE世界大学ランキング(Times Higher Education World University Rankings)
QSランキング (Quacquarelli Symonds World University Rankings)
通信制コースに限定したランキングサイトも2つ紹介します。こちらはオンライン学習のカリキュラムの充実度を中心にランク付けされています。
U.S.News Education Top Online Colleges
Forbes Best Online Colleges
ランキング上位の大学は人気があり、世界中から優秀な学生が集まります。カリキュラムの質も高く、同時に難易度も高くなります。
日本国内で事業を行う外資系企業を含め、海外の企業は日本企業ほど大学のネームバリューを評価しません。大学を選ぶときは、ただ知名度の高い大学を選ぶのではなく「自分の学習したい内容が学べ、学習の目的が達成できるか」を第一に優先し、またそれを説明できるようにしましょう。
ランキングにはあくまで参考程度に見るようにしてください。以下のような不確定要素もあるので過信は禁物です。
- ランキングは毎年変動。ランキングにつられて入学しても、卒業する頃には大きくランクダウンしていることも。
- ランキングは大学単位を評価。しかし、大学によっては優れた学部とそうでない学部が存在。ランキングの数字だけで大学を選ぶのは危険。
- 世界中の学校を完全に網羅していない。例えばフランスのグランゼコール(職業訓練用の高等学習機関)など、各国固有の教育制度はランキングに入っていない。
- ランキング下位の大学でも、富裕層や省庁関係者など、一部の選ばれた人が通う大学もあり、大学ランキングと大学の優劣はイコールではない
オンライン学習のプラットフォームはcourseraかedXの2択
海外大学のオンラインコースが提供されている学習プラットフォームを2つ紹介します。courera(コーセラ)とedX(エディックス)です。courseraはスタンフォード大学、edXはマサチューセッツ工科大学とハーバード大学が立ち上げた学習用のサイトです。それぞれ、他の大学も続々と加わり、学士・修士などの学位から数時間で修了できる無料のショートプログラムなど様々な通信制コースを提供しています。この2つの他にも各国・各団体が運営しているものや、各大学が独自で提供しているものもあります。
オンライン学習サイトは他にもUdemy、Udacityなどたくさんあります。しかし、これらのサイトは短期間で1つのトピックを学習するコースが中心となっており。正式な学位を取得できるコースはありません。そのため、学位を取得したい場合、または学位に値する高品質なコースで学習したい場合はcourseraかedXをお勧めします。courseraかedXであれば、学位以外の短期のコースでもあとから学位を目指したくなったときに単位にカウントできることもあります。
大学(学士)や大学院(修士・博士コース)は通常、英語で提供されています。そのため、修了にはそれなりの英語力が必要になります。一方で、短期のコースは日本語に対応している事が多く、英語に苦手意識があっても学習が可能です。オンライン留学に必要な英語力はこちらにまとめています。
coursera
edX
コースを完了して修了証を取得、履歴書や職務経歴書に記載しよう。種類は学位から短期コースまでさまざま
コースを完了すると修了証が発行されます。修了証はLinkedinに登録したり、Credly(オンライン証明書サービス)のバッジとして表示できます。もちろん、履歴書や職務経歴書にも記載できます。
※無料の修了証コースは学習完了までは無料で、修了証(PDF)が欲しい場合は有料(数千円〜数万円)の場合が多いです。有料コースの場合は通常、開始時の支払額に修了証の費用も含まれています。
海外のオンラインコースは日本の大学以上に様々な種類があります。また、国や大学、提供プラットフォームによって呼び方が変わりますので、ここでは大きく「学位」と「修了証」の2つに分けて整理します。
■学位(Degree)
スクール | 学位 | 英語表記 | 標準期間 |
大学 | 準学士 (短大) | Foundation Degree Associate Degree MicroBachelors certificate(edX) | 0.5-2年 |
学士 | Bachelor’s degree Undergraduate degree | 4年 | |
大学院 | 準修士 | Postgraduate Certificate Postgraduate Diploma MicroMasters certificate(edX) | 1-2年 |
修士 | Master’s degree(M.D) Graduate degree | 2年 | |
博士 | Doctor’s degree(Ph.D) | 2年 |
※ちなみにビジネスで良く耳にするMBAは経営学修士(Master of Business Administration)の略です。他にも文系大学学士はBA(Bachelor of Art)、理系大学学士はBSc(Bachelor of Science)、法科大学院博士はJD(Juris Doctor)など様々な略称があります。
■修了証・認定証(Certificate)
修了証は大学の科目履修と似ています。1つまたは複数の修了すると修了証(サーティフィケート)を取得することができます。学位よりも短期間・低コストで自分の興味がある分野を学ぶことができます。正式な学位ではありませんが、その分野を学んだ証明になります。もちろん履歴書や職務経歴書にも記載できます。
※修了証は大学や学習サイトによって認定証と表記されることもありますが、どちらも同じものです。
1つのコースを終えると取得できる「修了証」と、複数セットになった一連のコースを修了すると取得できる「専門分野修了証」の2種類があります。また、大学・プラットフォームによってレベル(大学レベルまたは大学院レベル)ごとに種類が分かれています。
スクール | 科目数 | 英語表記 | 期間 |
大学 | 1 (修了証) | Professional Certificate(coursera) Course Certificate(edX) | 数時間〜 |
複数 (専門分野修了証) | Specialization Certificate(coursera) XSeries Certificate(edX) | 数ヶ月〜 | |
大学院 | 1 (修了証) | Graduate Certificate(coursera) | 数ヶ月〜 |
複数 (専門分野修了証) | MasterTrack Certificate(coursera) | 数ヶ月〜 |
例えばペンシルバニア大学の「マーケティング入門」コース(10時間)を修了するとProfessional Certificate修了証を取得できますが、このコースを含む6コース(計2ヶ月)を修了すると6つの修了証(Professional Certificate)と「ビジネス基礎専門」の専門分野修了証(Specialization Certificate)も取得できます。自分の興味ある分野から学び、コース単位で1つづつ修了証を入手できるため、途中で学習を中断(挫折した・仕事が忙しくなったetc)してもそれまでの努力を無駄にせずに済みます。
オンラインと通学で得られる学位・修了証は同じ
オンラインで取得した学位は通学のものよりも劣っているのではないか?と心配になる人も多いと思います。通信制の学校、というと夜間授業とか定時制のような普通の通学クラスとは違うイメージがあるためだと思います。
私はこれまでに、オンラインで学士(大学卒)や修士(大学院の前期過程卒)のコースを提供している20以上の大学に「オンラインで取得できる学位は通学のものと違うのでしょうか?」と問い合わせをしてみました。
ほとんどの大学からの回答は「オンラインと通学で得られる知識に差はなく、取得できる学位も同じです。学位の名称も通学と同じで、オンラインコースであることを示す文言はありません。」といった内容でした。
具体的には、卒業して得られる学位(履歴書に書く文言)は「Master of Business Administration, xxx University」であり、通信で卒業したことは分かりませんし、もし面接などで「現地に留学されたのですか?」などと質問を受けても、胸を張ってオンラインで卒業しました、と言えば良いのです(通学制と同じ品質の学習をして同じ知識を身につけており、また大学も同じだと言っているのですから)。
ごく一部、ハーバード大学の通信制スクール「ハーバード・エクステンションスクール」の修士コースなどでは、卒業して得られる学位が「Master of Liberal Arts in Extension Studies」のように、学位の名称自体に通信制であることが分かるコースもあります。その場合も、胸を張ってオンラインで卒業したと言えば良いでしょう。がんばって卒業したことに変わりはありません。
同様に、短期間で得られる修了証についてもオンラインと通学の差はありません。修了証コースはそもそも現地でもオンラインで提供されている事が多く、学習内容も同じことがほとんどです。
オンライン学位・修了証を企業は好意的に評価
オンラインで取得した学位や修了証を企業はどう評価するか、就職・転職に役立つのか、は重要なポイントだと思います。
企業で採用活動をしている経験から言うと、結論、日本企業・海外企業に関わらず、応募者に求める最も重要なポイントは実務経験です。学歴や資格はそれを補強する材料として評価されます。キャリアアップを目指す場合は自分のやりたい分野の実務経験を積み上げることを第一に意識しましょう。
しかし、そもそも新卒で実務経験がない場合や、中途だけど新しい職種にチャレンジしたい場合など、やりたい仕事の実務経験がないケースは多いと思います。また、労働人口外減少している昨今、企業としても求めている実務経験のある人材は都合よく採用できず、実務経験がなくてもやる気がある人や、その分野の知識がある人を育成前提で採用する、というケースも多いです。
その時に、オンラインで取得した学位や修了証は絶大な効果を発揮します。実務経験はないけどやる気がありその分野を学習した人は、他に同じ未経験の応募者がいたときに選考で勝ちます。オンラインで取得した学位や修了証は選考を通過するための強力な武器になります。具体的には、書類選考の通過率がアップし、その後の面接時にも学位・修了証を通して、そのポジションの仕事をやりたいという応募動機・キャリア志向・自身と企業の求める人材像がマッチしていることをアピールでき、内定に至る可能性がアップします。
修了証が就職活動に役立つ例
いくつか実際にあった例を紹介します。
ケース1.応募してきた求職者2人の実務経験が同程度だった。1人はオンライン修了証を取得しており、もう1人は取得していなかった。→オンライン修了証を持っている人を採用。
ケース2.新卒(第二新卒)の求職者2人が応募してきた。当然ながら実務経験はほとんどない。1人はオンライン修了証を取得しており、もう1人は取得していなかった。→オンライン修了証を持っている人を採用。
ケース3.中途採用に応募してきた求職者の職務経歴書をみると、働いていない空白期間が1年あった。何をしていたか確認したらキャリアチェンジのためオンラインで学び修了証を取得していた。→通常、空白期間が求職者はマイナス評価するが、この求職者は空白期間の理由がしっかりしているため書類選考通過。
ケース4.応募してきた求職者の履歴書を見ると、これまでの経験・専攻と異なる全くの異業種・異職種への応募になっている。キャリア転向したいそうで自己学習し、オンラインで修了証をいくつか取得している。→通常は実務経験必須のため不合格にするところだが、異業種の経験が組織の変革に役立つ可能性がある。想定ポジションの今年度の採用予定枠4名のうち、1名をチャレンジ枠としこの人を採用。
これらはあくまで一例ですが、どれも私自身が新卒・キャリア採用活動に従事する中で経験したことです。オンライン学位・修了証を持っていれば実務経験がなくても即採用とは行きませんが、選考時の加点要素の1つにはなるでしょう。
国内資格との違いはグローバル分野の業種・職種と外資へのアピール力
オンラインでの学位・修了証と日本国内の資格の取得の違いは、グローバル分野の業種・職種、および外資系企業へのアピール力です。
日本で働くのであれば公的資格の取得は誰しもが考えることだと思います。例えば、日本で税務をやりたいのであれば税理士資格、経営関連をやりたいのであれば中小企業診断士、他にも測量士・建築士・危険物取扱者・宅地建物取引士・看護師、などなど、日本には職業に合わせた様々な公的資格が存在しています。自分のやりたい仕事につながる資格があれば、取得を目指しましょう。
一方で、日本の資格ではカバーできないグローバル分野の業種・職種と外資企業にアピールするにはオンラインで海外大学・海外企業が提供している学位や修了証の取得が有効です。
例えば、グローバル展開している化粧品メーカーの経営企画部門には中小企業診断士よりも海外大学MBAの方が効果的なケースがあります。同様に、外資AIベンチャーの日本拠点では海外大学のアントレプレナーシップ(起業)の修了証が高く評価されたりします。また、工場の稼働効率を管理するSCM(サプライチェーンマネジメント)などの外資で重宝されるハイレベルな知識は、そもそも該当する日本の資格が存在しなかったりします。
ということで、海外オンライン学位・修了証と公的資格は一長一短の関係です。自分の進みたいキャリアにあわせ、考えていきましょう。日本で看護師になりたければ日本の看護師資格を取得するしかありません。同様に、将来海外で働きたい、外資系企業で働きたい、日本企業の海外部門で働きたいといった方はオンラインの学位・修了証を取得して、日本の外でも通用する学歴・資格・職歴を目指しましょう。
次は海外オンラインコースの学習に必要な英語力について見ていきます。